
相乗積とは掛け算のことです。スーパーマーケットでは一般的に「商品の売上構成比×粗利益率」で求めます。相乗積を出すことで商品ごとの貢献度がわかります。
貢献度の高い商品と低い商品を混ぜ合わせて販売することをマージンミックスといいます。マージンミックスを行う上で相乗積を知ることは欠かせません。
なぜなら相乗積を出すことで分類ごと部門ごとの貢献度が明確になるからです。
分類別の相乗積
例えば鮮魚部門を大きく分け一般魚と刺身の2つの分類に分けます。
仮に一般魚の「構成比が5%で利益が20%」「刺身の構成比が3%で利益が40%」だったとすると、一般魚の相乗積は5×20で100になり、刺身の相乗積は3×40で120になります。
これで鮮魚部門での一般魚の貢献度は100で、刺身の貢献度は120だとわかりました。今回は大ざっぱに一般魚と刺身に分けましたが、商品ごとの相乗積を知るときもやり方は同じです。「商品構成比×その商品の粗利益」で求めることができます。
いろいろな相乗積を調べることで商品ごとの貢献度がわかり、どの商品を多く販売すれば粗利益が多くなるのかわかります。単純に利益率の高い商品を強化するのではなく相乗積の高い商品を強化した方がいいと考えられます。
なぜなら相乗積は構成比と利益を掛けた比だからです。構成比はお客様の人気度を示し、利益は店にとって欠かせないものだからです。
部門別の相乗積
スーパーマーケットには複数の部門があり各部門には部門構成比と部門利益があります。全ての部門利益を足したものが店の単純利益になります。単純利益を総売り上げで割ったものが単純利益率になります。
店の利益率を上げるには粗利益率の低い部門の構成比を抑える必要があります。なぜなら構成比は全て足すと必ず100になるため、どこかが上がればどこかは下がるからです。利益率の低い部門の構成比が下がれば店の利益率は上がります。
仮にグロッサリー部門の「構成比が30%で粗利益が10%」鮮魚部門の「構成比が10%で粗利益が35%」その他の部門の「構成比が一律15%で粗利益が25%」だったとします。
するとグロッサリー部門の相乗積は30×10で300になります。鮮魚部門は10×35で350になります。その他の部門は15×25で375になります。
これで各部門ごとの相乗積がわかり部門ごとの貢献度が明確になりました。
それではどこを伸ばせば良いのでしょう。仮に構成比=人気度が高いグロッサリー部門の相乗積を上げるために、粗利益率を9%に落として構成比を45%まで上げれば、相乗積は405になり店全体の総利益額の約4割を利益率の低いグロッサリー部門だけで稼いでいることになります。これでは店に対するグロッサリー部門の貢献度は上がっても店全体としての利益率は下がってしまいます。
問題は構成比は全て足すと必ず100になることです。利益率の低い部門の構成比を上げると利益率の高い部門の構成比が下がるということです。
どうすればいいのか、ここで出てくるのがマージンミックスという考え方です。貢献度の高い部門と低い部門を混ぜ合わせるという考えかたです。
例えば卵1パック50円や冷凍食品8割など確実に赤字になるような広告で客数を増やします。すると一部門の利益は落ちますが、その他の部門では広告の商品以外は全て定価で販売するなどして、店全体としての利益を確保していくやり方です。
最後に相乗積は大きければ大きいほどいいということはありません。そのものの現在の貢献度を知るための指標です。貢献度の高い商品や部門はお客様から支持されています。