
スーパーマーケットの原価計算の仕方は基本的に全ての部門で同じですが、一部の部門では歩留り計算が必要になります。鮮魚部門の中でも一部の商品については歩留り計算が必要になります。
鮮魚部門の原価計算が他の部門と違うのは、正しい原価をだすために歩留りを計算をしなくてはいけない商品があることです。
歩留り計算が必要な原価計算
歩留りとは原料から得られる使える部分の比率です。鮮魚部門で歩留まり率を出すときの計算式は使える部分÷原料×100で歩留まり率がでます。
例えば㎏当たり800円で9キロのブリが、捌き終わると使える部分が4キロになったとします。このときの歩留まり率は4÷9×100で歩留まり率は44%になります。㎏当たり800円で仕入れたブリが実際には44%としか使えないことが分かったので㎏当たりの原価も変わってきます。
本当の原価を知る計算の仕方は800÷44×100=1818円です。これで㎏当たり800円で仕入れたブリの原価が㎏当たり1818円だと分かりました。
もう一つの考え方として、仕入れ金額÷使える部分の重さでも原価を出すことができます。歩留り計算は小数点以下が四捨五入されるので仕入れ金額÷使える部分とは若干の誤さがあります。
計算の仕方は㎏当たり800円×9キロ=7200円
捌き終わった後の重さが4キロ
なので7200÷4=1800円です。
このやり方なら簡単で早く正しい原価がでます。
一般の魚の原価計算
鯵が㎏当たり800円で100キロ入荷したときとの1匹あたりの原価を出してみます。100g当たり幾らで販売する場合は㎏当たりの原価に乗せたい利益率を乗せればいいのですが、ばら売りなど1匹幾らで販売するときは1匹当たりの原価を知る必要があります。
魚の数が少ないときは原価から匹数を割れば直ぐにでます。例えば鯵の原価が1600円で20匹入荷したとします。このときの鯵の原価は1600÷20で1匹当たりの原価は80円です。
しかし100キロもの鯵を全て数えることは大変です。全て数えても数え間違いやタイムロスの原因になります。全て数えて得られるのは正しいかも知れない原価と自己満足です。
それでは簡単にほぼ正しい原価を出してみます。
先ず大き目の鯵を10匹、中位を10匹、小さ目を10匹選んで重さを量ります。
その30匹の重さにキロ当たりの原価を掛けてやります。
次にそのでた原価から今選んだ鯵の数30で割ります。
すると鯵1匹当たりのほぼ間違いのない原価がでてきます。
例えば鯵が30匹で4キロだとします。原価は㎏当たり800円なので800×4で鯵30匹あたりの原価は3200円になりました。
なので3200円÷30匹で1匹あたりの原価が107円だと分かりました。
最後にスーパーの鮮魚部門で魚1匹あたりの正しい原価を毎回出す必要はありません。
仮に売り上げの30%の利益が必要だとし、全ての商品に30%の利益を乗せても見切りや廃棄などで利益率は30%以下になります。
魚1匹1匹ではなく相乗積を利用して全体として考えましょう。