
スーパーに限らづ本鮪を1本捌くと、価値観の違う複数の部位にわかれます。価値観が全て同じなら歩留り計算をして原価を出せばいいのですが、本鮪のように捌き終わると価値観の違う部位が生まれるときはそうはいきません。
なぜなら販売する部位ごとの価値観が違い、それぞれの原価を出さなくては部位ごとの売価を決められないからです。
鮪の原価計算一例
スーパーマーケットで本鮪を姿のままで仕入れるのはマグロの解体ショーでもない限りなかなかないでしょう。なので今回は腹1丁を仕入れた時の原価計算の一例をしてみます。
仮に腹1丁で㎏当たり2200円、重さが15㎏だとします。これを赤身、中トロ、大トロに分けたときの、それぞれの原価をだしていきたいと思います。
先ず腹1丁を捌くと「赤身、中トロ、大トロ、血合い、皮」に分かれます。血合いと皮も販売はできますが原価には入れません。
仮に15キロだったマグロの腹を5つの部位に分けると「赤身が7キロ、中トロが5キロ、大トロが1キロ、血合いと皮で2キロ」だったとします。血合いと皮は原価に入れないので無視します。
それでは価値観の違う部位に分けたときの原価計算の仕方の一例をしてみます。
はじめに中トロと大トロが赤身の何倍の価値なのかを決めなくてはいけません。仮に中トロの価値が赤身の1.5倍大トロの価値が2.5倍とします。
この倍率は赤身に中トロを約33%、大トロを60%を上乗せした数字です。計算の仕方は100÷0.67と100÷0.4です。赤身の価値に乗せたい率をご自身で決めてください。今回は1.5倍と2.5倍で計算してみます。
15キロあった腹1丁が捌き終わると、赤身が7キロ、中トロが5キロ、大トロが1キロになったので全て足すと13キロになりました。普通は13÷15で歩留まり率を出しますが価値観の違う部位が混じっているので全体の歩留まり率は無視します。
価値観が違う部位の計算
鮪の腹1丁がキロ2200円で重さが15キロ。
捌き終わると赤身が7キロ、中トロが5キロ、大トロが1キロ。
中トロの価値を赤身の1.5倍、大トロの価値を赤身の2.5倍にしたときの計算。
マグロの原価は2200×15で33000円です。
捌き終わると全体の重さが13キロになりました。
33000÷13で使える部分の原価はキロ当たり2538円になりました。全て赤身なら2538円に乗せたい値入率を乗せればいいのですが中トロと大トロがあるのでそうはいきません。
ここで大切なのは全体の原価が33000円だということです。
そして赤身の原価を出せば中トロは赤身の1.5倍、大トロは赤身の2.5倍になるということです。
それでは赤身の原価を出してみます。
赤身が7キロ×1=7キロ
中トロ5キロ×1.5=7.5キロ
大トロ1キロ×2.5=2.5キロ
この重さを全て足すと17キロになります。
33000円を17キロで割ると1941円になります。
これが赤身の原価です。
赤身の原価に1.5を掛けると2912円になります。
これが中トロの原価です。
赤身の原価に2.5を掛けると4853円になります。
これが大トロの原価です。
確認
全体の原価は33000円です。
赤身の重さ7キロ×1941円=13587円
中トロの重さ5キロ×2912円=14560円
大トロの重さ1キロ×4853円=4853円
13587円+14560円+4853円=33000円
これで赤身、中トロ、大トロそれぞれの原価がでました。